大阪大学感染症総合教育拠点
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生体反応シグナル学
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Department of Molecular Biology and Biochemistry, Graduate School of Medicine, Osaka University
はじめに
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教授ご挨拶

教授 菊池 章生体内の全ての細胞の間には、多彩なシグナルのネットワークがはりめぐらされており、個体としてのホメオスターシスが保たれています。細胞内外に存在するこれらのシグナルを的確に処理する仕組みが細胞には存在しています。この仕組みをシグナル伝達機構と呼び、その異常に基づく細胞の分化形質の発現異常が種々の疾患の病態に関わると考えられています。私達はシグナル伝達機構による細胞機能制御とその破綻による疾患との関わりを理解することを目指して研究を進めています。

100年前、あるいは私が医学部の学生であった30年前でさえも、物理はOrder & Simpleであり、生物はChaos & Complexであるといわれていました。確かに、生物を論理的にかつ体系的に語ることが困難であったように思います。しかし、その後ゲノムを基軸として生物が理解されるようになり、おそらく、現代の私達はヒトを含めた生物、生命をOrder & Complex、すなわち「秩序ある複雑性を有した存在」と考えるようになってきました。秩序が乱される結果、病気になると考えてよいかもしれません。この秩序ある複雑性を担保するのはシステムであり、シグナル伝達機構はまさに生体のシステムです。次世代シークエンサーの登場により、わずかな時間で100億塩基の解読が可能になり、個人全ゲノム情報が低価格で解読できる日が現実のものとなる近い将来において、表現型の解析が最も進んでいる生物はヒトかもしれません。その意味において、ゲノム情報と(ヒト疾患)表現型情報を結びつけるシステムとして、シグナル伝達機構を捉えていきたいと考えています。

現在、私達の研究室ではWntシグナルによる細胞機能制御とその異常による病態の解析を主たる研究テーマとして行っています。今後は、TGF-βやNotch、Hedgehog等、他のシグナル経路との関連を十分に意識しながら、シグナル伝達機構を統合的に捉える研究を進展させていきたいと思っています。このような私達の研究に興味を持っていただき、多くの方々が一緒に実験をしていただくことを希望しています。

大阪大学感染症総合教育拠点 生体反応シグナル学 教授 菊池 章
Signal Transduction and Biological Response, Center for Infectious Disease Education and Research, The University of Osaka

略歴

1982年3月 神戸大学医学部卒業
4月 神戸大学医学部付属病院医員(研修医)
1983年7月 住友病院内科医員
1984年4月 神戸大学大学院医学研究科博士課程(内科系専攻)
1988年4月 神戸大学助手(医学部生化学第一講座)
1992年6月 神戸大学講師(医学部生化学第一講座)
7月 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部 心臓血管研究所客員研究員
1994年12月 広島大学教授(医学部生化学第一講座)
2002年4月 広島大学大学院教授(医歯薬学総合研究科 分子細胞情報学)
2009年12月 大阪大学教授(大学院医学系研究科・医学部 分子病態生化学)
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